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中学生時代の挫折 ~夢を諦めた子供のは何を思うか~

前回の話はこちら。

鉄道会社で働くことへの憧れ ~将来の夢にどんな絵を描いたか?~

将来の夢や憧れの仕事があったとしても、具体的にどういう進路を歩んで行けばそこに辿り着けるのかは、学生時代にはなかなか分からないものです。

そして業界によってはどれくらいの学歴で社会へ出るかによって、既に入り口が決まっている場合があります。

四大卒でなければ就けない仕事であれば、とにかく大学を出るまで頑張ればいいかもしれません。

しかし高卒でなければ就けない仕事だったら、中高の進学校へ進学してしまったり、大学へ進学してから気付いた場合年齢的に手遅れになっていて、結局就職出来なかった・・・という場合もあり得ます。

 

鉄道会社への就職に憧れていた私は、中学生の間はただ漠然と、勉強していい成績を取っていれば叶うものだと思っていました。

そんな思いで勉強に励んでいたため、成績も中の上くらいは維持していました。

 

しかし中3になって進路のことなどを自分で調べるようになると、ある一つの事実を知ることになります。

 

それは、鉄道会社の現場採用で入社するには、高卒で就職しなければならないケースが大半であるということ。

 

中高一貫の進学校に入ってしまった私は、この学校が高校から進学せずに就職することは一切支援してくれないことを知っていました。

学校の教育方針も、6年間一貫した勉強をすることで、良い大学に入る下地を整えておくというもので、中高一貫校であれば当然の考え方です。

 

高卒でなければ鉄道の現場で働けない(大卒で入ることも出来ますが、数年の現場経験で総合職に回されてしまう)と知った私は、この学校を中学で中退し、他の高校に入ることを考えるようになりました。

鉄道会社への就職に特化した高校は東京に2校あり、「昭和鉄道高校」と「岩倉高校」というところが有名です。

このどちらかに入れば鉄道会社への就職はほぼ確実に実現できると考え、中高一貫の学校を中学でやめたいと親に相談しました。

鉄道会社への就職に難色を示していた母親には当然猛反対され、最初は全く話を聞き入れてくれませんでした。

しかし私は諦めきれず、せめてオープンキャンパスだけでも行かせて欲しいと懇願して、なんとか昭和鉄道高校のオープンキャンパスだけ連れていってもらえることになりました。

鉄道に関する勉強にフォーカスした学校の雰囲気は私にとって楽園のようで、校内に設置された運転シミュレーターの運転体験は、どんなテーマパークよりも楽しく思えました。

 

やっぱりこの高校に入りたい。

 

そんな気持ちが一層強くなりました。

昭和鉄道高校は当時男子校で、あまり倍率も高くありませんでした。

中高一貫校を中退して受験するようでは在籍校からの推薦は絶望的でしたので、一般入試で挑むことになるのは必至です。

過去問を頂いて取り組んでみましたが、もう少し頑張れば克服出来そうな気がしていました。

 

しかし運命のいたずらか、想定外のことが起こりました。

男子校だった昭和鉄道高校は私が入学する年度から共学になり、新校舎も完成してかなり注目される学校になっていたのです。

その結果、倍率も今までの3倍以上に膨れ上がり、その多くが推薦入試を選んで受験するという状況になりました。

そんな中、受験勉強という形で中3を過ごしてこなかった私は一般入試で挑戦しなければなりません。

しかも、昭和鉄道高校を受験するには、今いる学校に退学届を出さなければならないとのことでした。

 

もし落ちれば鉄道高校に入れないだけでなく、今いる学校の居場所すら無くなってしまう・・・

そしたら私の学歴は中卒止まり・・・!?その後どうすればいいのか?

 

そんな強迫観念がまだまだ未熟な15歳の私に襲い掛かり、急に自分のやろうとしていることが恐ろしく感じるようになってきました。

そして、担任の先生に相談した時、先生は

「加納が決意するなら止めないよ。学校としては何も出来ないけど、先生は応援するから」

と言って、私に退学届の用紙を手渡してくれました。

その紙に書かれた『退学』という言葉を目の当たりにして、とうとう私の心は折れてしまったのです。

 

私は昭和鉄道高校の受験を諦め、退学届を提出することはありませんでした。

そして同時に鉄道会社への就職自体も不可能なことだと思うようになって、私の中で燃え続けていた情熱や憧れのような気持ちが急速に冷めていきました。

 

「もう自分の人生で他にやりたいことなんかない。なのに何故勉強なんかしなきゃいけないのか?」

 

中3の私は、そんなひねくれた考え方の人間になっていきました。

同時期に父親が借金を抱えて蒸発するという家庭の事情も重なり、私は自分でもわかるくらい、心が荒んでいったのです。

 

もしこの記事を読まれているあなたがまだ学生さんだったら、今のあなたは就職という目標や、その先の人生の生き方を見据えて進路を選んでいるでしょうか?

そして、そんな目標を友達や家族に語ったことはあるでしょうか?

語った時、家族はそれを応援してくれましたか?それとも反対しましたか?

 

目的地を明確にせずに漠然と日々を過ごしていると、最終的に全く自分の求めていなかった結果に辿り着いてしまう可能性は非常に高いと思います。

自分は何がやりたいのか?それを実現するために協力してくれる人は誰か?

行動を起こす前にそれを明確にした上で、その目的地に最短ルートで辿り着ける進路を設計するべきだとつくづく感じています。

 

この話の続きはこちら。

迷走の高校時代 ~人が目標を失った時に陥る行動~

ストーリーを最初から読まれる場合はこちらから。

鉄道会社で働くことへの憧れ ~将来の夢にどんな絵を描いたか?~

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